成績アップの秘訣~基礎と実践のバランス「中学理科#104~力学的エネルギー保存の法則~」 勉強が好きになる小中高生向け学習塾「札幌自学塾」 

 

1.力学的エネルギー保存の法則

●力学的エネルギー

 

力学的エネルギー = 位置エネルギー + 運動エネルギー

 

※つまり位置エネルギーと運動エネルギーの和を力学的エネルギーと言います。

 

 

 

●力学的エネルギー保存の法則

 

外部から力を受けない限り力学的エネルギーは一定であるということ。

 

※外部からの力・・・摩擦力や空気抵抗など。

 

 

 

 

 

力学的エネルギーは運動の最中、常に一定になります。

 

 

※ただし運動のようすを変えるような力(摩擦力や空気抵抗)がはたらいていなければという条件付き。

 

 

このきまりを力学的エネルギーの保存、または力学的エネルギー保存の法則といいます。

 

 

 

 

2.力学的エネルギー保存の法則の使い方

↓の図のようなコースを質量3kgの物体が進んでいくとしましょう。

 

ここでは摩擦や空気抵抗は考えないものとします。

 

3kgの小球を10mの高さから、静かに手を離し滑らせます。

 

 

ここからA点・B点・C点を通過したときのエネルギーを考えます。

 

 

① A点

高さは10mです。

 

ここで位置エネルギーの公式を使うと

 

  A点での位置エネルギー = 30N×10m = 300J

 

とわかります。↓

 

 

 

ここでは手を離した瞬間なので、速さはゼロです。

 

 

つまり

 

  運動エネルギー=0J

 

 

です。

 

 

 

よって

 

  力学的エネルギー位置エネルギー + 運動エネルギー300J

 

とわかります。↓

 

 

 

 

この後も力学的エネルギーの保存という決まりによって

 

力学的エネルギーは300Jのまま保存されます(変化しない)。

 

 

 

② B点を通過した瞬間

B点は8mの高さなので

 

位置エネルギーの公式を使うと

 

 

  B点での位置エネルギー = 30N×8m = 240J

 

となります。↓

 

 

 

 

 

このとき力学的エネルギーは300Jのまま保存されています。

 

 

 

 

 

よって

 

  運動エネルギー  300J - 240J  60J

 

となります。↓

 

 

 

 

 

③ C点を通過した瞬間

C点は高さ3mなので

 

 

  C点での位置エネルギー = 30N×3m = 90J

 

です。↓

 

 

 

 

 

ここでも力学的エネルギーは300Jです。(力学的エネルギー保存の法則)

 

 

 

 

 

よって

 

  運動エネルギー  300J - 90J  210J

 

となります。↓

 

 

 

 

運動エネルギーはB点通過時は60J、比べてC点通過時は210Jと大きくなっています。

 

つまりB点通過時よりC点通過時の方が速さが大きいことがわかりますね。

 

 

 

④ D点を通過した瞬間

D点は高さ0mなので

 

 

  D点での位置エネルギー = 0J

 

です。↓

 

 

 

 

 

ここでも力学的エネルギーは300Jです。(力学的エネルギー保存の法則)

 

 

 

よって

 

  運動エネルギー  300J - 0J  300J

 

となります。↓

 

 

 

 

 

つまりD点でもっとも運動エネルギーが大きい=速さが大きいことになりますね。

 

 

 

このように力学的エネルギーが保存される場合は

 

運動エネルギー = 力学的エネルギー - 位置エネルギー

 

として求めることができます。

 

 

 

また高さが低いところほど運動エネルギーが大きく、速さも大きいことになります。

 

 

 

グラフで見てみましょう。

 

位置エネルギーは次のように変化していました。

 

 

 

 

 

一方で運動エネルギーは↓のようなグラフになります。

 

 

 

 

 

また力学的エネルギーは保存されているので↓のような一定のグラフになります。

 

 

 

 

 

この3つのグラフを1つにまとめてみましょう。↓

 

 

 

 

 

このように力学的エネルギーが保存されるならば

 

低いところほど運動エネルギーは大きい(=速い)

 

・位置エネルギーが増えると運動エネルギーは減る

 

・位置エネルギーが減ると運動エネルギーは増える

 

つまり位置エネルギーと運動エネルギーは逆の変化をする

 

ということになります。

 

 

 

- POINT -

 

・運動エネルギーは「力学的エネルギーと位置エネルギーの差」で求める。

 

・図中にエネルギーを図示してみると解きやすい。