成績アップの秘訣~基礎と実践のバランス「中学理科#107~滑車を使った仕事~」 勉強が好きになる小中高生向け学習塾「札幌自学塾」 

 

1.滑車を使った仕事

●定滑車

 

天井や壁、床などに固定されて動かない滑車。

 

 

 

 

●動滑車

 

天井や壁、床などに固定されておらず動くことのできる滑車。

 

 

 

 

例題1

下の図のように3kgの物体を定滑車につるした。

 

糸の一端を手で引き、物体を5m持ち上げたい。

 

このとき、あとの問いに答えなさい。

 

ただし摩擦や空気抵抗は考えないものとする。

 

 

 

 

(1)糸を何Nの力で引けばよいか。

 

(2)糸を何m引けばよいか。

 

(3)手がした仕事は何Jか。

 

 


 

 

 

【解答】

 

 

3kgの物体にはたらく重力は30Nです。

 

つまり糸を30Nの力で引くと、3kgの物体を持ち上げることができます。

 

 

 

 

 

また糸を何m引くかは、物体を引き上げる長さに等しいはず。

 

(物体を引き上げたい分だけ、糸を引かなければならないということ)

 

 

よって糸を5m引くわけです。

 

 

 

 

そして手がした仕事は

 

 

  仕事(J) = 力(N) × 力の向きに動いた距離(m) = 30N×5m = 150J

 

 

 

となります。

 

 

 

したがって答えは

 

(1)30N (2)5m (3)150J

 

となります。

 

 

 


 

※(3)の別解

 

 

仕事とは、どれだけその物体のエネルギーを変化させたかを表します。

 

仕事(J)=エネルギーの変化量

 

 

 

この問いでは滑車を使って物体を持ち上げています。

 

物体が持ち上がるということは、物体の位置エネルギーが増加するということ。

 

 

 

位置エネルギーは次の公式で求められます。

 

  位置エネルギー(J)=重さ(N)×高さ(m)

 

 

 

 

30Nの物体を5m持ち上げているので

 

  位置エネルギー=30N×5m=150J

 

 

となり、物体の位置エネルギーが150J大きくなります。

 

 

 

よって

 

  仕事=エネルギーの変化量=150J

 

 

と求めることもできます。

 

 

 

 

例題2

下の図のように3kgの物体を動滑車につるした。

 

糸の一端を手で引き、物体を5m持ち上げたい。

 

このとき、あとの問いに答えなさい。

 

ただし滑車の質量、摩擦や空気抵抗は考えないものとする。

 

 

 

 

 

(1)糸を何Nの力で引けばよいか。

 

(2)糸を何m引けばよいか。

 

(3)手がした仕事は何Jか。

 

 


 

 

 

【解答】

 

 

(1)

 

物体の質量は3kg。

 

そのため物体には30Nの重力がはたらいています。↓

 

 

 

 

 

この30Nの下向きの重力を天井と手の2か所で支えています。↓

 

 

 

 

 

そのため

 

天井が支える力(天井にはたらく力)=15N

 

手が支える力(手にはたらく力)=15N

 

 

となっています。

 

 

よって答えは15Nです。

 

 

 

 

(2)

 

物体を5m持ち上げるには、動滑車の左右両方のひもを5mずつ引き上げればよさそうです。

 

しかし片方のひもは固定されています。

 

 

つまり固定されているひもの分も、手で引かなければなりません。

 

 

 

 

式で書くと

 

  5m×2=10m

 

 

 

よって正解は10mです。

 

 

 

 

(3)

 

(1)より、手が糸に加えた力は15N。

 

(2)より、手が糸を引いた長さは10m。

 

 

ここから

 

 

  仕事(J) = 力(N) × 力の向きに動いた距離(m) = 15N×10m = 150J

 

 

 

よって仕事は150Jが正解です。

 

 

 


 

※(3)の別解

 

例題1の(3)の別解同様、30Nの物体が5m持ち上がり位置エネルギーが増加していることから、

 

  増加した位置エネルギー=30N×5m=150J

 

 

 

よって150Jの仕事をした、と求めることもできます。

 

 

 

 

 

3.動滑車の特徴

例題1も例題2も「重さ30Nの物体を5m持ち上げる」という問題でした。

 

 

例題2のとき(動滑車を使ったとき)

 

手が引く力=15N

 

手が引く糸の長さ=10m

 

 

でした。

 

 

 

つまり動滑車を使うと

 

・手が引く力は1/2倍

 

・手が引く長さは2倍

 

 

となるのです。

 

 

 

しかし、しなければいけない仕事は変わりません。(例題1も例題2も150J)

 

このように道具を使っても使わなくても、仕事の量は変わりません。

 

このことを仕事の原理といいます。

 

 

 

 

 

- POINT -

 

・動滑車での仕事は・・・

 

→ 手が引く力は1/2倍・手が引く長さは2倍

 

→ でも仕事の量は変わらない。(仕事の原理)