成績アップの秘訣~基礎と実践のバランス「中学理科#140~比熱~」 勉強が好きになる小中高生向け学習塾「札幌自学塾」

 

1.比熱とは

熱量の単位には2つあります。

 

J(ジュール)

 

cal(カロリー)

 

 

「cal」という単位は、水を基準に定められています。

 

  水1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量を1calとする

 

という基準です。

 

 

昔は「cal」という単位が広く使われました。

 

現在は「J」の単位を使うことが推奨されています。

 

 

「J」と「cal」には

 

  1cal=4.184J

 

という関係があります。

 

 

ただ数字として扱いにくいため、中学理科では

 

  1cal=約4.2J

 

とすることが多いです。

 

 

つまり

 

  水1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量は4.2Jである

 

と言いかえることができます。

 

 

この4.2Jは水の性質です。

 

温度を1℃上げるために、もっと熱が必要な物質もあります。

 

反対に、もっと少ない熱で済む物質もあります。

 

 

すなわち、温まりやすい物質、温まりにくい物質があります。

 

 

その性質の違いを表す値が比熱です。

 

 

 

▼比熱

 

物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量のこと。

 

たとえば水の比熱は約4.2J。

 

※正確な単位は(cal/g・℃)または(J/g・℃)

 

 

 

比熱が大きいと物質は・・・

 

→温めるのに必要な熱が多い。つまり、温まりにくい物質。

 

 

比熱が小さいと物質は・・・

 

→温めるのに必要な熱が少ない。つまり、温まりやすい物質。

 

 

 

▼物質が得た熱量と比熱の関係

  物質が得た熱量(J)=比熱×物質の質量(g)×上昇温度(℃)

 

 

 

例題

次のような装置で、25Ωの電熱線に50Vの電圧を加えて、6分間電流を流した。

 

このとき200gの液体Pの温度は14℃上昇した。

 

液体Pの比熱はいくらか。

 

ただし電熱線から発生した熱のうち35%が液体Pの温度上昇に使われたものとする。

 


 

 

【解答】

 

 この実験では

 

・電熱線から熱が出た

 

・その熱の一部(35%)が液体Pに入った

 

 

という流れで液体Pの温度が上昇しています。

 

 

まず電熱線から出た熱の量(発生した熱量)を求めましょう。

 

次の公式を使います。

 

  電熱線から発生した熱量(J)=電力(W)×時間(s)

 

 

 

この問いでは25Ωの電熱線に50Vの電圧を加えています。

 

オームの法則から

 

 

  電流(A)=50V÷25Ω=2A

 

 

 

よって

 

 

  電力(W)=50V×2A=100W

 

 

したがって電熱線から発生した熱量は

 

 

  電熱線から発生した熱量(J)=100W×360秒=36000J

 

 

 

となります。

 

 

このうち「35%が液体Pの温度上昇に使われた」とあるので

 

 

  36000×0.35=12600J・・・①

 

 

 

の熱量が液体Pに入ったことになります。

 

 

ここで液体Pの比熱をとして、液体Pに入った熱量を式で表してみましょう。

 

 

  液体Pが得た熱量=x×200g×14℃=2800x(J)・・・②

 

 

①と②は等しいはずなので、次の式が成り立ちます。

 

 

  12600=2800x

 

  x=4.5

 

 

よって液体Pの比熱は4.5(J/g・℃)となります。

 

 

 

- POINT -

 

比熱の問題を解くときは・・・

 

①「電熱線から出た熱量=電力(W)×時間(秒)」によって「出た熱量」を求める。

 

②「物質が得た熱量=比熱×物質の質量(g)×上昇温度(℃)」によって「入った熱量」を求める。

 

③ この2つの関係を式に表す。