1.畜産と酪農の違い
■畜産
家畜(牛・豚・鶏など)を飼育して、肉・乳・毛・皮などの家畜製品を生産する産業で、農業の一部門。
■酪農
乳牛を飼育して牛乳などの乳製品を生産する、畜産の一部門。
つまり、酪農は畜産の一部ということになり、飼育する家畜もほとんど乳牛が中心になります。

次の例文を参考に、2つの言葉の違いをおさえましょう。
- 北海道の東部は、畜産の中でも特に酪農が盛んな地域です。
- 鹿児島県や宮崎県は、豚やブロイラー(肉用の鶏)を中心にした畜産が盛んです。
ちなみに「牧畜」という言葉もありますが、これは主に牧場などを利用して家畜を飼育すること自体を指す言葉です。
2.酪農の盛んな北海道
北海道は畜産が盛んですが、中でも東部の根釧台地は気候的に冷涼で、火山灰の積もった台地状の地形は農耕には向いていません。
気候が冷涼なことは、腐りやすい乳製品を扱う酪農には逆に有利な点になります。
北海道はこの根釧台地を中心に酪農が発達し、乳牛の飼育頭数は全国の約半分を占めています。
世界的にも、北ヨーロッパやアメリカの五大湖周辺など、冷涼な地域に酪農地域が発達しています。
そして補足ですが、北海道は乳牛だけでなく、肉牛の飼育頭数も全国第1位となっています。
北海道以外にも酪農が発達している地域はあります。
観光地としても有名な小岩井農場がある岩手県。
西日本も含めて、山岳地帯や高原地帯の冷涼な地域。
また、すぐに消費地へ出荷できる大都市周辺などでも酪農が行われています。
3.畜産の盛んな南九州
北海道は畜産の中でも酪農が盛んでした。
その一方、畜産でも豚とブロイラー(肉用の鶏)の飼育頭数が多いのが南九州の鹿児島県と宮崎県です。
飼育頭数は、
豚:鹿児島県が1位、宮崎県が2位
ブロイラー:宮崎県が1位、鹿児島県が2位
です。
鹿児島県の黒豚は有名ですね。
またブロイラーは、この2県と第3位である岩手県の上位3県で、全体の約5割を占めています。
さらにこの2つの県は、肉牛の飼育頭数でも北海道に次いで第2位と第3位で、まさに畜産県です。
これには、火山灰の積もったシラス台地がある(=米の栽培に向かない)ことや、山岳地帯が多いことなどが影響しています。
4.まとめ
それでは畜産と酪農の違いをもう一度整理しておきましょう。
- 畜産は、家畜を飼育して、肉や乳、毛などの家畜製品を生産する農業の一部門。
- 酪農は、乳牛を飼育して、牛乳などの乳製品を生産する畜産の一部門。
農業の中に畜産があり、畜産の中に酪農があります。
次回は「促成栽培と抑制栽培」です!
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