1.日本の漁業
日本は島国であり、豊かな海洋環境に囲まれ、各地域ごと特色のある漁業が行われています。
漁業にはいくつかの種類がありますが、大きく分けると
・とる漁業
・育てる漁業
の2つです。
海にいる魚を捕まえるのが「とる漁業」、魚などを育ててからとるのが「育てる漁業」です。
2.とる漁業
とる漁業は、沿岸漁業、沖合漁業、遠洋漁業の3種類です。
それぞれについて、具体的に見ていきましょう。
沿岸漁業
沿岸漁業は、沿岸部にて古くから行われてきた日本でもっともポピュラーな漁業です。
5~10トンくらいの小さな船で、日帰りで行うのが特徴です。
地域によっていろいろな漁法があり、また季節によってもとれる魚が違ってくるので、対象となる魚はアジ、サバ、タコ、イカ、エビ、そして海藻などさまざまです。
日本においては、漁師さんの約8割が沿岸漁業をしていると言われており、古くから重要な役割を担ってきました。
(漁獲量はまた別の話で、日本全体の約2割ほどです)
しかし、沿岸漁業は減少傾向にあります。
日本全体の漁業不振の影響を受けているのはもちろんですが、海洋汚染や埋め立て、赤潮などの影響を直接的に受けやすい点にも要因があります。
- 沿岸漁業の特徴 -
- 船の大きさ・・・5~10トンの小型の船
- 漁の場所・・・・沿岸部
- 漁の期間・・・・日帰り
- とる魚・・・・・アジ、サバ、タコ、イカ、エビ、海藻など
沖合漁業
沖合漁業は、日本の沿岸部から200海里内で行われる漁業です。
(1海里=1852メートル)
20~150トン級の船で、数日~1週間かけて漁をします。
対象となる魚はアジ、サバ、イワシ、サンマなどの大衆魚や、エビ、カニなどです。
日本の漁業の中で、もっとも漁獲量が多いのがこの沖合漁業であり、日本の漁獲量全体の約6割をしめています。
- 沖合漁業の特徴 -
- 船の大きさ・・・20~150トン
- 漁の場所・・・・200海里排他的経済水域内
- 漁の期間・・・・数日~1週間
- とる魚・・・・・アジ、サバ、イワシ、サンマ、エビ、カニなど
- 漁獲量がもっとも多く、現在の日本の漁業の中心
遠洋漁業
遠洋漁業は、太平洋をはじめ大西洋やインド洋など、世界の海が漁場となります。
200~500トン級の大型漁船に、多くの乗組員が乗船します。
数ヶ月から、時には1年ほど海に出て行われる大規模な漁業です。
代表的な漁法は、「マグロ延縄漁」「遠洋カツオ一本釣り漁」「遠洋イカ釣り漁」などがあります。
また、「トロール漁」も遠洋漁業に含まれます。
トロール漁とは、ネットのような漁具を使って、魚群を丸ごと捉えてしまう漁法です。
漁獲量が非常に多い点が特徴と言えます。
しかし遠洋漁業の漁獲量は現在大幅に減少しており、日本全体の漁獲量の約1割ほどになっています。
衰退した原因には、1970年代に発生した石油危機や、200海里の経済水域が設定され、漁のできる場所が制限されたことなどがあげられます。
- 遠洋漁業の特徴 -
- 船の大きさ・・・200~500トン
- 漁の場所・・・・遠洋
- 漁の期間・・・・数ヶ月~1年
- とる魚・・・・・マグロ、カツオ、イカ、タラなど
3.育てる漁業
海に漁に出るのが「とる漁業」ですが、「育てる漁業」は漁に出ません。
魚だけではなく魚介類全般を人工的に育てます。
このような漁業を養殖漁業といいます。
養殖漁業
養殖漁業は、対象の魚が出荷サイズになるまで水槽やいけすで育てたあと、製品として販売する漁業です。
よく似ているものとして、栽培漁業がありますが、これは卵から稚魚になるまでの期間を人の手によって育てたあと、生育に適した海に放流し、自然の海で成長したものを漁獲する漁業を指します。
日本で行われている養殖漁業の対象魚は、ウナギ、マダイ、ハタ、クエ、ブリ、ハマチなどです。
加えて、ノリ、ワカメなどの藻類や、カキ、真珠などの貝類も養殖されています。
4.まとめ
- 漁業の分類 -
- 漁業
├─とる漁業
│ ├─沿岸漁業
│ ├─沖合漁業
│ └─遠洋漁業
│
└─育てる漁業
└─養殖漁業
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