1.アジア州の宗教
世界の宗教のうち、特に多くの国に広まった3つの宗教を世界三大宗教といいます。
アジア州には、この世界三大宗教がすべてそろっています。
また、このメジャーな世界三大宗教に対して、ある国やある民族だけに信仰されている限定的な宗教もあります。
ヒンドゥー教や、ユダヤ教などです。
アジアにはそういった宗教がたくさんあり、入り混じって分布しています。
それでは、アジアで信仰されている宗教について順番に見ていきましょう。
仏教
シャカ(釈迦)がインドで開いた宗教であり、2500年もの歴史があります。
その教えが広まって一時期インドで栄えましたが、その後インドでは衰退していき、むしろ周囲の国に広まっていきました。
今では東アジアや東南アジアの大陸部を中心に信仰されています。
東南アジアでは熱心な仏教徒が多く、僧侶の修行が厳しい国もあります。
特にタイでは約9割の人が仏教を信仰しており、タイの人たちにとっては生活に浸透したものとなっています。
そして日本に仏教が伝わってきたのは6世紀半ばごろ。
東南アジアの国や、中国、朝鮮半島を経て伝わってきました。
しかし日本では、仏教だけでなくキリスト教や神道と呼ばれる独自の宗教なども信仰されており、いろいろな宗教が混じっています。
それは日本人に馴染みのある行事からも読み取れます。
お盆は、仏教の文化。
クリスマスは、キリスト教。
初詣は、神道。
などなど。それぞれの宗教の影響を受けていますね。
ちなみに、東アジアの中国では道教が、韓国では儒教の教えの方が浸透しています。
- アジアの仏教 -
- 東アジアや東南アジアの大陸部を中心に信仰されている。
- タイでは約9割の人が信仰しており、仏教が生活に根付いている。
- 例外として、中国では道教、韓国では儒教の方が浸透。
イスラム教
仏教より遅れて7世紀。
アラビア半島でムハンマドが始めた宗教であり、1400年の歴史があります。
経典のコーランに書いてある教えに従うという宗教です。
周辺の西アジアはもちろん、
もともとソ連という国の一部だった中央アジアや、
アラビア商人の影響で、インド周辺や東南アジアの沿岸にも広まっていきました。
そして今では、西アジアを中心として南アジアのパキスタンやバングラデシュ、
東南アジアのマレーシアや、島国であるインドネシアなどで信仰されています。
アジアの宗教を勉強するうえで、この東南アジアのイスラム教の国は要注意です。
西アジアを中心に発展していったわけですが、アラビア商人の影響によって、東南アジアでも信仰されるようになった、という点をしっかりおさえておきましょう。
また、イスラム教は暮らしにおいて、飲酒や豚肉を食べることが禁止されているという特徴もあります。
- アジアのイスラム教 -
- 西アジアで発展 → アラビア商人の影響 → 東南アジアでも信仰
- 信仰の中心は西アジア。ほかに南アジアのパキスタン・バングラデシュ、東南アジアのマレーシア、島国のインドネシアなどで信仰。
キリスト教
キリスト教は1世紀にイエスが始めた宗教であり、2000年の歴史があります。
現在の国でいうと、西アジアのイスラエルの近くが発祥の地です。
そこからすぐヨーロッパに広まっていきました。
アジアでもっともキリスト教が盛んな国は、フィリピンです。
なぜフィリピン?
と思ってしまうかもしれませんが、これはフィリピンがスペインの植民地であったことに関係しています。
布教に熱心だったスペイン人の影響で、フィリピンでキリスト教(スペインと同じカトリック)が浸透していったのです。
ちなみに、日本に初めてキリスト教を伝えたのも、スペインからやってきたザビエルでしたね。
- アジアのキリスト教 -
- フィリピンで信仰されている(スペイン植民地時代の影響)
以上が世界の三大宗教なんですが、お気づきでしょうか?
実はこの仏教、イスラム教、キリスト教、すべてアジアが発祥の地なんです。
信仰の源はすべてアジアにあったんですね。
2.その他の宗教
最初の方でも少し触れましたが、アジアでは世界三大宗教のほか、ある国やある民族だけに信仰されている宗教がいくつかあります。
インドのヒンドゥー教
インド古来の宗教が合わさって出きあがった宗教、という感じです。
現在のインドでは約8割の人が信仰していますので、人口でいうと10億人以上もの人がヒンドゥー教徒ということになります。
信仰している人の数だけでいうと、世界宗教と言ってもいいぐらいですね。
そんなインドですが、かつて宗教による対立の末に分離独立した、という歴史があります。
第一次世界大戦後、イギリスの植民地だったインドで独立運動が活発になりました。
そこでイギリスはこの独立運動を弱体化しようと、インド内の宗教的な対立を利用したのです。
インドではもともとヒンドゥー教以外にも、イスラム教やキリスト教など、ほかの宗教も一定の割合を占めていました。
イギリスは政策によってこの宗教間の対立を深め、その結果インドは「ヒンドゥー教徒の国インド」と「イスラム教徒の国パキスタン」とに分かれて独立することになったのです。
さらに、インド南部に浮かぶ島国セロイン(現在はスリランカ)も、仏教徒の国としてインドとは別に独立しました。
イスラエルのユダヤ教
第二次世界大戦後、ユダヤ人は自分たちの故郷の地パレスチナに、ヨーロッパ各地から移住してきました。
そうして建てられたのがイスラエルです。
しかし建国するとなったとき、そこにはすでにイスラム教を信仰するアラブ民族のパレスチナ人が住んでいました。
当然対立することになります。
これがパレスチナ紛争と呼ばれる争いです。
この問題は現在でも解決できていない大きな民族問題です。
そしてユダヤ教ですが、実はキリスト教やイスラム教も、このユダヤ教から派生した宗教なんです。
ユダヤ教の方が古い歴史があるということですね。
3.まとめ
アジア州には多くの宗教が分布しています。
どの宗教がどの辺で信仰されているのか確認しておきましょう。
▼イスラム教
西アジアや中央アジアが中心。
例外:東南アジアのインドネシア・マレーシア、パキスタン、バングラデシュ
▼仏教
東南アジアが中心。
例外:南アジアの島国スリランカ
▼国と宗教がセット
-
フィリピン = キリスト教
- インド = ヒンドゥー教
- イスラエル = ユダヤ教
残りはざっくり、西の方にイスラム教、東南アジアのインドシナ半島に仏教。
次回は「プランテーション農業」です!
詳しく「札幌自学塾」を知りたい方は、ホームページを参照してください! こちらをクリック>>
無料体験・申し込みは、「お問い合わせ欄」からメールしてください! こちらをクリック>>