1.経済特区とは?
■経済特区
中国の経済開放によって、外国の資本や技術を導入することを目的に設けられた特別な区域。
"経済開放"という言葉が出てきましたが、これは中国が社会主義の国であることが関係しています。
中国は社会主義の国なので、工業も自分の国だけで目標を決めて生産を行う方式でした。
しかし、それでは……
ライバル同士での競い合いがないとか、賃金も一定でなかなか増えないとかの理由で働く人の意欲がわかず、生産が伸びなかったのです。
そこで……
工業に関しては、外国の企業が来ることを認めて生産を伸ばそうとしたわけです。
政治的には社会主義のままだけど、経済的には外国の進出を認めたので”経済開放”と言います。
では、外国の企業を誘致したことで、どのようなメリットがあるのでしょう?
- 資本は出してもらえる
- 技術を学べる
- 工場でたくさんの中国人を雇ってもらえる
という具合に、中国にとってはいいことばかりですね。
そして学んだ技術を用いて、中国が自ら同じような工場をつくり、ますます工業生産が増える……
という、まさにその経済効果は抜群でした。
このように受け入れ側の中国にはたくさんのメリットがありますが、
では中国に進出する外国企業側には、どのようなメリットがあるのでしょう?
- 働く人の賃金が安い
- 工場を建てる土地の値段が安い
- 税金が優遇される
税金の優遇というのは、中国が外国の企業に来てもらうために、生産に必要な原料などの輸入にかかる関税を低くしたり、免除したりしてくれるということです。
さらには企業が地元に納める必要のある税金も同様です。
このようなメリットから、日本の企業も国内で生産するより、中国で生産したほうがコストがおさえられたので、たくさんの企業が中国に進出していきました。
中国側のメリット
- 資本や技術の導入
- 雇用の増加
- 大きな経済効果
外国企業側のメリット
- 賃金や土地のコストが低い
- 税金が優遇される
2.経済特区は中国のどこにある?
中国の経済特区があるのは、中国の華南、すなわち中国南部の地方です。
そのなかでも沿岸部に集中しています。↓

この地方には当時、貿易で栄えたイギリスの植民地ホンコン(香港)があり、もともと外国船の往来が多い地域でした。
まず経済特区に指定されたのは4つの都市。
アモイ(厦門)、スワトウ(汕頭)、シェンチェン(深圳)、チューハイ(珠海)
その後、ハイナン島(海南島)が加わり、現在は5ヵ所が経済特区として指定されています。
3.中国以外の経済特区
実は、中国の経済特区と同じような性格を持つ場所が、東南アジアの国などにもあります。
ただ、これらの国は社会主義ではないので"経済特区"とは呼ばず、"輸出加工区"などといった呼び方をしています。
ですが、この言葉はあまり重要ではありません。
大事なことは、東南アジアの国にも同じような特別な区域があって、工業が発展しているということです。
シンガポール、タイ、マレーシアの3つが特に工業生産が多く、機械類などを多く輸出しています。
貿易額で見ても、これらの国が東南アジアではベスト3です。
やはり経済効果が大きいということですね。
★ まとめ ★
- 経済特区とは、中国の経済開放政策により、華南の沿岸部に設けられた特別な区域のこと。
- 税金を優遇したりして外国の企業に来てもらい、経済を発展させることが目的。
- 東南アジアにも、似たような形で発展した新しい工業国がある。
次回は「中国の生産責任制と万元戸」です!
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