成績アップの秘訣~基礎と実践のバランス「中学社会#39~ヨーロッパ州の農業~」 勉強が好きになる小中高生向け学習塾「札幌自学塾」

 

1.ヨーロッパ州の農業分布

ヨーロッパの農業は気候と大きな関わりをもって分布しています。

 

 

 - ヨーロッパの農業分布 - 

  • 北部・・・酪農(北部の冷涼なところ)
  • 中部・・・混合農業(ヨーロッパで一番基本的な農業)
  • 南部・・・地中海式農業(地中海性気候のところ)
  • 都市の周辺部・・・園芸農業

 

 

北から順番に、酪農、混合農業、地中海式農業となります。 

 

 

 

 

酪農

ヨーロッパの北部で行われるのが酪農です。

 

 

北部は、かつて氷河時代には多くの土地が氷河に覆われていました。

 

そのため、ヨーロッパ北部の土地は、その氷河が削った岩や石などが堆積しているやせた土地になっています。

 

ですので現在の冷涼な気候と合わせて、穀物の栽培に適さず、牧草地が多くなって酪農が盛んなのです。

 

 

 

では具体的に酪農が盛んな国はどこでしょう?

 

 

- 酪農が盛んな国 -
デンマーク ・ オランダ ・ スイス

 

 

 

■酪農が盛んな国① デンマーク

 

デンマークでは、牧草地以外にも畑で多くの種類の飼料作物をつくって乳牛に与えています。

 

大麦、エン麦(えんばく)、テンサイなどの作物を、土地を区切ってそれぞれの耕地に1年ごとにローテーションを組んで栽培しています。

 

このような栽培方法を輪作(りんさく)といいます。

 

 

毎年同じ耕地で同じ作物ばかりをつくっていると、特定の養分ばかり吸い上げて土地がすぐに衰えてしまいます。

 

ですので輪作をすることによって、その土地の栄養バランスを保っているのです。

 

 

ちなみに、輪作とは反対で、同じ土地で同じ作物を作り続けることを連作(れんさく)といいます。

 

この連作を行うことによって、土地の養分などに問題が発生することを連作障害というので、これも合わせて覚えておきましょう。

 

 

 

話を戻して、牧草以外にもいろいろな飼料を食べて育ったデンマークの乳牛からは、質のいい乳製品がとれます。

 

このようなやり方が世界的に評価されて、デンマークは酪農王国と呼ばれているのです。

 

 

 

■酪農が盛んな国② オランダ

 

オランダも酪農で有名な国です。

 

この国はポルダーという干拓地で有名な国で、なんと国土の4分の1が海抜0m以下になっています。

 

このポルダーはもともと海底の土地だったわけで、北部と同様、土地の条件がよくありません。

 

ですので北部の国と同じように、酪農が盛んなのです。

 

 

 

■酪農が盛んな国③ スイス

 

スイスはヨーロッパの中部に位置する国ですが、酪農が盛んです。

 

この国での酪農のやり方は、ほかとは違う特徴があります。

 

 

その特徴とは、アルプスの山を利用していることです。

 

夏になると、麓の村から牧草が生い茂っている山の上へ

 

冬になると、麓の村へと戻ってきます。

 

このように、家畜を移動させながら飼育するやり方を移牧(いぼく)といいます。

 

ちなみに、山の上ではチーズなどもつくっています。

 

 

 

 

混合農業

ヨーロッパで一般的な農業が混合農業です。

 

ヨーロッパ中部の平野部を中心に広く行われています。

 

 

混合農業とは耕作と家畜飼育の組み合わせなので混合といいます。

 

 

混合農業 = 耕作(主食物+飼料作物)+ 家畜飼育

 

 

 

 

- 混合農業が盛んな国 -
ドイツ ・ フランス

  

 

 

ドイツではパンになる主食物はライ麦と小麦(やせ地の多い北部では小麦に変わって、悪条件にも強いライ麦が多くなります)、飼育作物はジャガイモ(人間も主食で食べます)が多く、家畜は豚や肉牛を飼育しています。

 

フランスでは主食物は小麦、飼育作物はテンサイが多くなり、家畜はドイツと同じく豚や肉牛を飼育しています。

 

気候条件や土地条件がよいこともあって、小麦はヨーロッパ最大の生産をあげて輸出もしています。

 

フランスはヨーロッパ最大の農業国なのです。

 

 

というわけで、肉を商品にする混合農業は、ドイツとフランスが代表です。

 

 

 

 

地中海式農業

ヨーロッパ南部の地中海沿岸で行われるのが地中海式農業です。

 

この農業の特色は、夏に乾燥する地中海性気候と深い関係にあります。

 

 

乾燥する夏には、乾燥に強いオリーブやブドウ、オレンジなど果物をメインにつくります。

 

 

雨が降る冬には、小麦をメインとしてつくっています。

 

 

そして家畜は、やはり乾燥に強い羊が多くなっています。

 

 

 

- 地中海式農業が盛んな国 -
イタリア ・ スペイン ・ ポルトガル ・ ギリシャ

  

 

 

 

■イタリアは要注意!

 

地中海式農業として代表的な国の中でも、イタリアについては注意が必要です。

 

それは場所です。

 

イタリアでは確かに地中海式農業が行われていますが、それはイタリアの半島部

 

北部のアルプス山麓地帯の平野では、混合農業が行われています。

 

 

イタリア北部は、気候も地中海性気候ではありません。

 

年中降水量が多く、ポー川というアルプスからの雪解け水が豊富な川も流れており条件がよいです。

 

 

イタリア全体が地中海式農業というわけではなく、

 

イタリア北部は混合農業、半島部では地中海式農業

 

 

となっています。

 

 

 

 

園芸農業

園芸農業とは、都市部の周辺で、野菜や草花をどんどんつくってはどんどん出荷する農業です。

 

 

- 園芸農業が盛んな国 -
オランダ

  

 

 

オランダではチューリップの栽培が盛んです。

 

また酪農も盛んなので、オランダはチーズとチューリップの国と覚えておきましょう。

 

 

あるいは、オランダは風車の国として覚えている人もいるかもしれません。

 

このオランダ名物の風車は、干拓をするときに、水を排水するポンプを動かす動力として使っていました。

 

今でも排水は大事ですが、電動ポンプを使っているので、風車は主に観光用に残しているようです。

 

 

 

 

★ まとめ ★

 

  • ヨーロッパの農業は、北から酪農、混合農業、地中海式農業。そして一部の都市周辺部で園芸農業。
  • 園芸農業以外は家畜の飼育をともなっている。

  • 酪農の代表国・・・デンマーク、オランダ、スイス
    (スイスは場所的にも、やり方も移牧形式で例外的)

  • 混合農業の代表国・・・フランス(ヨーロッパ最大の農業国)、ドイツ

  • 地中海式農業の代表国・・・イタリア(半島部)、スペイン、ポルトガル
     

  

 

 

次回は「ヨーロッパ州の工業」です!

 

 

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