成績アップの秘訣~基礎と実践のバランス「中学社会#40~ヨーロッパ州の工業~」 勉強が好きになる小中高生向け学習塾「札幌自学塾」

 

1.産業革命がヨーロッパの工業発展をもたらした

18世紀後半

植民地からたくさんの富を得ていたイギリスでは

 

多くの資本、高い技術力もあって産業革命が起こりました。

 

産業革命によるいろいろな機械や蒸気機関の発明は、工場での生産を飛躍的に伸ばして、工業の発達へとつながったのです。

 

 

最初は繊維工業からでしたが、やがて製鉄法の技術が進歩すると製鉄業(現在では鉄鋼業といいます)が発達しはじめます。

 

イギリスには鉄鋼業を行うための原料である鉄鉱石と石炭が両方とも豊富にあったので、条件も非常によかったのです。

 

 

同じように、ほかの国でも産業革命がはじまり、鉄鋼業はフランスやドイツでも行われるようになりました。

 

フランスは鉄鉱石、ドイツは石炭を多く産出しましたが、お互いに足りない方の資源を輸入し合っていました。

 

 

まとめると

 

産業革命はヨーロッパの工業発展の原点

 

 

ということになります。

 

 

 

2.ヨーロッパ工業の変遷

鉄を生産する鉄鋼業や、その鉄などを使って機械をつくる機械工業が、長らくヨーロッパの工業の中心になっていました。

 

これら鉄鋼業や機械工業を合わせて重工業と呼びます。

 

 

しかし、イギリスではやがて鉄鉱石がとれなくなり、石炭の産出も減っていきました。

 

そういう理由から、原料を輸入せざるを得なくなったため、製鉄所は臨海部の輸入港の近くに建設されるようになったのです。

 

同じように、フランスでも鉄鉱石がとれなくなり、輸入港の近くに製鉄所ができました。

 

 

このようにして、重工業地帯が臨海部のコンビナートへと移ったんですね。

 

 

 

輸入といえばもう一つ、”石油”を思い浮かべた人もいるかも知れません。

 

 

固体の石炭よりも液体で輸送しやすい石油は、エネルギー源として利用価値が高まりました。

 

中東で多くの石油が産出されはじめると、エネルギー源の主力が石炭から石油へと変わりました。

 

これが1960年代に起こったエネルギー革命です。

 

 

採掘した状態のものは原油と呼ばれますが、それを石油に精製するのが、輸入港にあるコンビナートの製油所です。

 

ここでは石油を精製したときに出る副産物で、多くの化学製品も生産しています。

 

 

この工業が石油化学工業です。

 

ヨーロッパで石油輸入の基地として有名なユーロポート(オランダ)も、この石油化学工業が発達しています。

 

 

 

というわけで、輸入港には鉄鋼業と石油化学工業の両方が発達して、重化学コンビナートを形成する場合もあるのです。

 

 

しかし、現在ではヨーロッパの鉄鋼業は生産の停滞や減少が見られるようになっています。

 

その理由は、原料を輸入して、賃金の高い労働力で生産を続けると、コストが高いということですね。

 

それに対して、原料が豊富で賃金も安いインドなどの新興国の鉄鋼業がどんどん伸びてきています。

 

 

なので現在のヨーロッパの工業の主力は、高い技術力を必要とする自動車工業や航空機工業、コンピュータ関連のソフトウェアを開発したりするIT産業(情報産業)に変わってきています。

 

 

ヨーロッパでの自動車生産はドイツが一番多く、ほかの国ではイタリアのトリノや、スペインのバルセロナが自動車工業の都市として有名です。

 

 

このように、ヨーロッパの工業の中心は、鉄鋼業などの重工業から石油化学工業、そして自動車工業や航空機工業、IT産業へと変遷しているということを、しっかりおさえておきましょう。

 

 

 

 

3.最大の重工業地帯はどこ?

ヨーロッパ最大の重工業地帯として知られるのは、ドイツルール工業地帯です。

 

停滞気味のヨーロッパの鉄鋼業の中でも、もっとも鉄鋼の生産が多いのがドイツで、ヨーロッパ最大の工業国でもあります。

 

その中心が、このルール工業地帯なんですね。

 

 

ルール地方はもとから石炭の産地で、現在も産出が続いていることに加えて、ユーロポートからライン川をさかのぼって、このルール工業地帯に鉄鉱石を輸入できる条件にも恵まれています。

 

すなわち、ルール炭田とライン川の水運がルール工業地帯を支えているのです。

 

 

 

4.ヨーロッパの航空機工業のしくみ

現在の主力工業の一つ航空機工業は、ヨーロッパの国々の分業で行われています。

 

 

イギリス、フランス、ドイツなどの国を中心に、それぞれの部品を担当で製造し、

 

最終的にフランスの南部にある都市、トゥールーズへ集めて組み立てています。

 

 

このようなしくみで完成したのがエアバスという大型ジェット旅客機です。

 

 

 

ヨーロッパの航空機工業は、各国の共同開発によって国際分業で製造されているのですね。

 

 

 

 

★ まとめ ★

 

  • イギリスやフランスでは臨海部の鉄鋼業や石油化学工業のコンビナートが中心である。
  • ヨーロッパ最大の重工業地帯は、炭田のあるドイツのルール工業地帯。
  • ヨーロッパ最大の石油輸入港"ユーロポート"は、石油化学工業も発達。
  • ジェット機の最終組立工場は、フランスのトゥールーズ。
  • ドイツ以外の自動車工業都市は、イタリアのトリノ、スペインのバルセロナ。

  

 

 

次回は「ヨーロッパ州の宗教」です!

 

 

詳しく「札幌自学塾」を知りたい方は、ホームページを参照してください! こちらをクリック>>

無料体験・申し込みは、「お問い合わせ欄」からメールしてください! こちらをクリック>>