1.キリスト教の3つの宗派
ヨーロッパ州の宗教は主にキリスト教です。
ただし、キリスト教と一言で言っても、その中には3つの宗派があります。
- キリスト教 -
- カトリック
- プロテスタント
- 正教会(ギリシャ正教)
もともとは1つにまとまっていましたが、長い歴史の中で分裂していくことになります。
キリスト教の歴史
古代ヨーロッパにはローマ帝国という強大な国が存在していました。
しかし、このローマ帝国は395年に西ローマ帝国と東ローマ帝国に分裂します。
そして、11世紀にはキリスト教も分裂することになりました。
西ローマ帝国のカトリックに対して、東ローマ帝国は正教会として分裂します。
このとき
西ローマ帝国を中心として分裂していった教派を西方教会
東ローマ帝国を中心として分裂していった教派を東方教会
とも言います。
さらに16世紀には宗教改革が起こりました。
当時カトリックは勢力を強めており、
「免罪符を買うことですべてが許されますよ」
という感じで、お金儲けをしているような状態でした。
これに対して
「カトリックは腐敗している!」
と不満を抱いていた人たちが中心となり、カトリックとの対立としてプロテスタントが新たに誕生します。
ドイツで始まった宗教改革の運動はその後、主にヨーロッパの北部へ広まっていきました。
ですので、今でもヨーロッパ北部ではプロテスタントが多く分布しています。
ちなみに、宗教改革によって生まれたプロテスタントを新教、それに対してカトリックを旧教とも呼びますが、これは日本での言い方です。
- ヨーロッパの宗教分布 -
- 北部・・・プロテスタント
- 南部・・・カトリック
- 東部・・・正教会


(出典:ちとにとせ)
宗教改革の始まったドイツはゲルマン民族の国ですが、プロテスタントは同じゲルマン民族が多いヨーロッパの北部に分布しています。
それに対して、ローマ法王を中心とするカトリックは、ラテン民族の多いヨーロッパの南部に分布しています。
東ローマ帝国の宗教だった正教会は、ヨーロッパの東部に分布していますが、この東部にはスラブ民族が多いのです。
ただし、宗教の分布と民族の分布は、完全には一致していないので注意が必要です。
少し詳しくなりますが、ドイツにはプロテスタントに対して、南部を中心にカトリック信者も多くいて、国全体の割合では半々ぐらいになっています。
また、スラブ民族が多い東ヨーロッパの国でも、西の方に位置するポーランドやチェコはカトリックが多くなっています。
南ヨーロッパでも、もっとも東に位置するギリシャは正教会(ギリシャ正教)です。
このような例外もありますが、おおまかには次のように覚えておきましょう。
- ヨーロッパの宗教分布と民族分布 -
- 北部・・・プロテスタント - ゲルマン民族
- 南部・・・カトリック - ラテン民族
- 東部・・・正教会 - スラブ民族
※補足※
■ヨーロッパ州にあるイスラム教の国
実はヨーロッパにも、例外中の例外としてイスラム教の国があります。
それは東ヨーロッパにあるアルバニアという国です。
かつて強大な勢力を誇ったオスマン・トルコ帝国が、ヨーロッパに領土を広げた時代。
トルコ人の影響でイスラム教に改宗した人がいて、その人たちが多く残っているのがこのアルバニアという国です。
★ まとめ ★
- ヨーロッパではおもにキリスト教が信仰されている。
- キリスト教はおもに、カトリック・プロテスタント・正教会の3つの宗派に分かれる。
- ゲルマン民族が多いヨーロッパ北部では、プロテスタント。
- ラテン民族の多いヨーロッパ南部では、カトリック。
- スラブ民族の多いヨーロッパ東部では、正教会。
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