成績アップの秘訣~基礎と実践のバランス「中学理科#105~摩擦力による仕事①~」 勉強が好きになる小中高生向け学習塾「札幌自学塾」 

 

1.摩擦力とは

●摩擦力

 

物体の動こうとする向きと反対向きにはたらく力。

 

 

 

 

摩擦力は「物体と床」「物体と地面」など、物体どうしの接している面にはたらく力です。

 

 

その向きは物体の動こうとする向きと反対向きです。

 

 

 

 

 

 

 

●摩擦がする仕事

 

摩擦力は物体の動きを邪魔する力とも言えるでしょう。

 

摩擦力がはたらくからこそ、摩擦のある面上で動いている物体は最終的には止まってしまいます。

 

 

 

 

止まる=速さがゼロ=運動エネルギーが0J

 

ということです。

 

 

 

 

摩擦力は運動エネルギーを奪うことができる=摩擦が「仕事」をする

 

 

と言うこともできます。

 

 

 

 

2.摩擦力を求める問題

 

例題

3kgの物体を↓の図のような斜面から静かに滑らせた。

 

 

 

 

物体は斜面を滑り下りて、水平面を4m進んで静止した。

 

この斜面には摩擦力がはたらかないが、物体には摩擦力がはたらく。

 

このとき水平面上で物体にはたらいた摩擦力は何Nか

 

ただし100gの物体にはたらく重力を1Nとする。

 

 

 


 

 

【解答】

 

 

摩擦の仕事によってエネルギーを奪われる典型的な問題です。

 

 

 

まずスタート地点での位置エネルギーを求めましょう。

 

 

  位置エネルギー = 重さ(N) × 高さ(m)

 

 

 

で求められるので

 

 

 

  位置エネルギー = 30N × 2m = 60J

 

 

 

です。↓

 

 

 

 

 

 

次にスタート地点での運動エネルギーを考えます。

 

 

静かに滑らせるとあるので

 

 

  速さ=0m/s

 

 

です。

 

 

 

 

よって運動エネルギーも

 

 

  運動エネルギー0J

 

 

 

となります。↓

 

 

 

 

 

 

次に力学的エネルギーを考えましょう。

 

 

  力学的エネルギー = 位置エネルギー 運動エネルギー

 

 

 

ですので

 

 

  力学的エネルギー = 60J 0J = 60J

 

 

となります。↓

 

 

 

 

 

 

このとき力学的エネルギーは60Jのまま保存されます。↓

 

 

 

 

この力学的エネルギーの保存は、斜面の最下点まで続きます。

 

 

 

しかし水平面を進んでいるときは

 

摩擦力がはたらくため力学的エネルギーは保存されない

 

ということになります。

 

 

 

 

静止した地点では

 

 

  位置エネルギー0J

 

  運動エネルギー0J

 

 

 

なので

 

 

  力学的エネルギー=0J

 

です。

 

 

 

つまり摩擦力によって60Jの力学的エネルギーは失われたのです。

 

 

これは「摩擦力は60Jの仕事をした」とも言えます。↓

 

 

 

 

 

仕事の求め方は

 

 

  仕事(J) = 力(N) × 力の向きに動いた距離(m)

 

 

 

です。

 

 

 

摩擦力をx(N)とすると

 

 

  摩擦のした仕事 = x(N) × 4m = 4x(J)

 

 

となります。

 

 

 

 

これが失われた力学的エネルギー60Jに等しいので

 

 

  4x(J) = 60(J)

 

 

よってx= 15(N) となります。

 

 

 

したがって正解は15Nです。

 

 

 

 

- POINT -

 

・摩擦力はその物体の進行方向と反対向きにはたらく。

 

・摩擦力がはたらくとき、力学的エネルギーは保存されない。

 

・「摩擦がした仕事=失われた力学的エネルギー」となる。