1.仕事の原理
●仕事
物体に力を加えて、力の向きに物体を動かすこと。
求める式↓
仕事(J)=力(N)×力の向きに動いた距離(m)
●仕事の原理
道具を使っても使わなくても仕事の量は変わらないこと。
仕事には「ものを持ち上げる」などがあります。
ものを持ち上げるには「手で持ち上げる」「てこを使って持ち上げる」「滑車を使って持ち上げる」などいろいろな方法があります。
このとき持ち上げる高さが同じならば、人がする仕事は同じです。
これを仕事の原理といいます。
2.斜面を使った仕事
↓の図のような場合を考えます。(※100gの物体にはたらく重力を1Nとする)
①では3kgの物体を真上に1m引き上げています。
②では3kgの物体を斜面を使って1mの高さまで引き上げています。
斜面を使った場合
②のように斜面を使ってものを持ち上げるのは、①と何が異なるのでしょうか。
①のように真上に持ち上げる場合、人は30Nの力を加えなければなりません。
しかし②の場合は、人が加える力は30Nではありません。
②において、物体にはたらく力には重力があります。
重力は物体の中心から下向きにはたらきます。
この「重力に逆らって」物体を持ち上げるのは①の場合です。
②のように斜面を使った場合は、「重力の分力に逆らって」物体を持ち上げます。↓
重力の分力は、当然重力よりも小さいです。
よって②の場合、人が引く力は30Nより小さくなります。
このように斜面を使ってものを持ち上げると、直接真上に持ち上げるよりも小さい力で済みます。
その代わり、人が糸を引く距離は長くなります。
①では「真上に1m引く」ですが、②では「斜面にそって2m引く」です。
仕事の量を計算
仕事を求める式は
仕事(J)=力(N)×力の向きに動いた距離(m)
でした。
ですので②の仕事を求めるには、手で引く力が何Nかを知る必要があります。
このような場合に仕事の原理を利用します。
①も②も、「3kgの物体を1m持ち上げる」というのは変わりません。
持ち上げる高さが同じならば、仕事の量は同じであるので
②の仕事=①の仕事=30N×1m=30J
となります。
次に手で引く力をx(N)として②の仕事を求める式をたててみましょう。
②の仕事=x(N)×2m=2x(J)
これは先ほどの30Jと等しいので
2x=30
よってx=15となり、手で引く力は15Nとわかります。
例題
↓の図のように、ある物体を斜面を使って20Nの力で引き、3mの高さまで持ち上げた。
このとき、あとの問いに答えよ。
(1)物体がされた仕事は何Jか。
(2)物体の重さは何kgか。
【解答】
(1)
物体は20Nの力で7.5m引かれているので
仕事(J)=力(N)×力の向きに動いた距離(m)=20N×7.5m=150J
よって正解は150Jです。
(2)
物体の重さをx(N)としたとき、直接真上に持ち上げる仕事は
仕事=x(N)×3m=3x(J)
となります。
これは(1)の答えと等しいので
3x=150
これを解くとx=50(N)となり、したがって物体の質量は5kgです。
・斜面を使ってものを持ち上げると、直接真上に持ち上げるより
→ 人が引く力・・・・小さくなる
→ 人が引く距離・・・大きくなる