成績アップの秘訣~基礎と実践のバランス「中学理科#113~斜面を使った仕事~」 勉強が好きになる小中高生向け学習塾「札幌自学塾」 

 

 

 

 

 

前回 輪軸を使った仕事

 

 

 

1.仕事の原理

●仕事

 

物体に力を加えて、力の向きに物体を動かすこと。

 

求める式↓

 

  仕事(J)=力(N)×力の向きに動いた距離(m)

 

 

 

 

 

●仕事の原理

 

道具を使っても使わなくても仕事の量は変わらないこと。

 

 

 

 

仕事には「ものを持ち上げる」などがあります。

 

 

ものを持ち上げるには「手で持ち上げる」「てこを使って持ち上げる」「滑車を使って持ち上げる」などいろいろな方法があります。

 

 

このとき持ち上げる高さが同じならば、人がする仕事は同じです。

 

 

これを仕事の原理といいます。

 

 

 

 

 

2.斜面を使った仕事

↓の図のような場合を考えます。(※100gの物体にはたらく重力を1Nとする)

 

 

 

 

①では3kgの物体を真上に1m引き上げています。

 

②では3kgの物体を斜面を使って1mの高さまで引き上げています。

 

 

 

斜面を使った場合

②のように斜面を使ってものを持ち上げるのは、①と何が異なるのでしょうか。

 

 

 

①のように真上に持ち上げる場合、人は30Nの力を加えなければなりません。

 

しかし②の場合は、人が加える力は30Nではありません。

 

 

 

②において、物体にはたらく力には重力があります。

 

重力は物体の中心から下向きにはたらきます。

 

 

 

この「重力に逆らって」物体を持ち上げるのは①の場合です。

 

 

②のように斜面を使った場合は、「重力の分力に逆らって」物体を持ち上げます。↓

 

 

 

 

重力の分力は、当然重力よりも小さいです。

 

よって②の場合、人が引く力は30Nより小さくなります。

 

 

このように斜面を使ってものを持ち上げると、直接真上に持ち上げるよりも小さい力で済みます。

 

 

 

その代わり、人が糸を引く距離は長くなります

 

 

①では「真上に1m引く」ですが、②では「斜面にそって2m引く」です。

 

 

 

 

仕事の量を計算

仕事を求める式は

 

  仕事(J)=力(N)×力の向きに動いた距離(m)

 

 

でした。

 

 

ですので②の仕事を求めるには、手で引く力が何Nかを知る必要があります。

 

 

 

このような場合に仕事の原理を利用します。

 

①も②も、「3kgの物体を1m持ち上げる」というのは変わりません。

 

 

持ち上げる高さが同じならば、仕事の量は同じであるので

 

 

  ②の仕事=①の仕事=30N×1m=30J

 

 

 

となります。

 

 

 

 

次に手で引く力をx(N)として②の仕事を求める式をたててみましょう。

 

 

  ②の仕事=x(N)×2m=2x(J)

 

 

 

これは先ほどの30Jと等しいので

 

 

  2x=30

 

 

よってx=15となり、手で引く力は15Nとわかります。

 

 

 

 

例題

↓の図のように、ある物体を斜面を使って20Nの力で引き、3mの高さまで持ち上げた。

 

このとき、あとの問いに答えよ。

 

 

 

 

(1)物体がされた仕事は何Jか。

 

(2)物体の重さは何kgか。

 

 


 

 

【解答】

 

 

(1)

 

物体は20Nの力で7.5m引かれているので

 

 

  仕事(J)=力(N)×力の向きに動いた距離(m)=20N×7.5m=150J

 

 

 

よって正解は150Jです。

 

 

 

 

(2)

 

物体の重さをx(N)としたとき、直接真上に持ち上げる仕事は

 

 

  仕事=x(N)×3m=3x(J)

 

 

 

となります。

 

 

 

これは(1)の答えと等しいので

 

 

  3x=150

 

 

これを解くとx=50(N)となり、したがって物体の質量は5kgです。

 

 

 

 

- POINT -

 

・斜面を使ってものを持ち上げると、直接真上に持ち上げるより

 

→ 人が引く力・・・・小さくなる

 

→ 人が引く距離・・・大きくなる