1.促成栽培と抑制栽培の違い
■促成栽培
野菜や草花を温暖な気候や温室などを利用して、本来の収穫時期より早く栽培する方法。
■抑制栽培
野菜や草花を冷涼な気候や温室などを利用して、本来の収穫時期より遅く栽培する方法。
促成栽培と抑制栽培、いずれも通常の収穫・出荷時期をずらして栽培することを指します。
ちなみに、促成栽培の「成」と、抑制栽培の「制」は間違いやすいので注意しましょう。
2.促成栽培と抑制栽培のメリット・デメリット
促成栽培や抑制栽培は、野菜などを本来の旬の季節からずらして出荷することになりますが、このように旬の季節から外れて市場(しじょう)での商品の数が少なくなる時期を端境期(はざかいき)と呼びます。
反対に、ビニルハウスや温室などの施設を使わずに、作物本来の旬の季節に栽培することを露地(ろじ)栽培といいます。
その露地栽培の作物が出回らない時期、すなわち端境期に野菜などを出荷すると、高い価格で販売することができます。
このように、作物を端境期に出荷することで高い利益を得るというのが、促成栽培や抑制栽培の利点です。
- メリット -
- 旬の時期よりも早く(または遅く)に出荷することで、高い値段で販売することができる。
一方で、デメリットもあります。
促成栽培や抑制栽培では、本来の旬の季節の自然環境を再現する必要があります。
そのためには、ビニルハウスや温室といった設備を用意しなければなりません。
そして作物が育ちやすい温度や湿度に調整するので、その燃料代がかかります。
- デメリット -
- ビニルハウスや温室などの設備、温度や湿度を調整するための燃料など、費用がかかる。
3.促成栽培・抑制栽培を行っている地域
促成栽培
促成栽培は温暖な気候を生かして野菜の生育を早める栽培方法です。
そのため、温暖な高知県や宮崎県で促成栽培が行われています。
高知平野では、夏が旬のナスやピーマンを、冬から春にかけて栽培し、出荷しています。
宮崎平野でも同じように、夏が旬のキュウリやピーマンを促成栽培で出荷しており、キュウリの生産量にいたっては宮崎県が日本一です。
抑制栽培
抑制栽培は冷涼な気候を生かして野菜の生育を遅らせる栽培方法です。
高冷地など夏が涼しい気候や立地条件を利用します。
代表的な地域は、長野県のあたりの中央高地や、群馬県の高原地帯です。
ここでは夏でも涼しい気候を利用して、レタスやキャベツを端境期である夏に出荷しています。
長野県はレタスの生産が第1位です。
ちなみに、このような高地での夏でも涼しい気候を活かして栽培される野菜のことを高原野菜といいます。
また、愛知県の奄美半島で行われている「電照菊」の栽培も、抑制栽培の一種です。
これは、本来は日照時間が短くなる秋に開花する菊の花を、夜間に人工的に光を当てることで開花時期を遅らせるというものです。
4.まとめ
それでは最後に、促成栽培と抑制栽培の違いをもう一度整理しておきましょう。
促成栽培は、野菜や草花を温暖な気候や温室などを利用して、本来の収穫時期より早く栽培する方法。
抑制栽培は、野菜や草花を冷涼な気候や温室などを利用して、本来の収穫時期より遅く栽培する方法。
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